夏の熱気よりも熱い!!焼津の今

焼津といえば、魚河岸シャツや漁師町、祭など、どこか粋で人情味のあるものをイメージする人が多いのでは?
今回改めて焼津をまわり、昔ながらの頑固さを残し、何事にも熱血な焼津人の気質を再認識した。

取組練習は休む間もなく連続で行われていたが、子供たちは黙々と挑んでいた。

焼津は相撲が凄かった!!

焼津神社と隣接する公園には市営の相撲場があり、週3回「やいづ少年相撲クラブ」の子供たちが稽古に勤しんでいる。彼らの相撲は全国でもトップレベル。クラブ発足から今年で33年目を迎え、現在幼稚園児から高校生という幅広い年代の子供たちが所属している。この日コーチを務めていたのはクラブOBでもある焼津市役所相撲部の松野さん。松野さんは「長年焼津での相撲文化が途絶えず、高いレベルを維持できているのは、歴代の指導者たちの努力の賜物」と語る。かく言う松野さんらも、子供たちの指導に加え、相撲の普及活動に力を入れている。「まずは、相撲を楽しんでもらうことが大事」と、幼稚園などを訪れ相撲教室を開き、ゲーム感覚で子供たちの相撲への興味をかき立てている。
クラブの稽古は2時間以上も続き、子供たちの集中力には目を見張るものがあった。小学3年の颯斗(はやと)君は、年長のときにライバルに相撲で負けたのがくやしくてクラブに入った。小柄な小学5年の幸芽ちゃんは、体は小さくても女子全国大会45キロ未満級で優勝を果たしている実力派。力だけではなく、いろいろな技を繰り出して相手を倒すのが楽しいのだそう。得意技は下手投げだ。大相撲の大ファンで、尊敬する力士は彼女と同じように小柄な石浦関。中学3年の愛美さんも全国大会で9度の優勝経験を持つ。大の負けず嫌いで、自分の弱い気持ちには1番負けられない。夢は世界大会で優勝することだ。8月12日の焼津神社大祭に合わせ、夕方から夜にかけて同相撲場で奉納相撲大会があり、14時からは市民大会も行われる。当日参加が可能な催しもある。

石原さん。コミュニティホーム 長者の森にて。

ロコ☆スタと「焼津ヤミー(闇)市」

今年1月の結成にも関らず、「やいづベーカリーサミット」や「バブルフィットネス」など、次々と焼津各地でイベントを打ち出し、町おこしに一役買っているグループが「ロコ☆スタ」である。彼らのイベントの1つ「焼津ヤミー(闇)市」の開催を9月に控えた今、ロコ☆スタメンバーであり、焼津ヤミー(闇)市の実行委員長の石原さんに、そもそもロコ☆スタとはどんな組織なのか、そして来る「焼津ヤミー(闇)市」の魅力を聞いた。
石原さんは、高齢者介護施設と保育所を併設した「コミュニティホーム 長者の森」の取締役。3年前、閉鎖的になりがちな介護業界を変えたいという想いから地域に開かれた施設を目指し、始めた「森de朝市」が焼津ヤミー(闇)市の前身だとか。そこで他業界と繋がることなしには介護業界の広がりもないことを確信し、だんだんとコミュニティを広げ、地域おこしにまで発展したそう。ロコ☆スタのメンバー5人の出会いも「森de朝市」を通してだった。彼らのイベントのキーワードは「非日常」。「楽しいところに人は集まり、『楽しい』は『非日常』から生まれるんだ」と、石原さん。ロコ☆スタのイベントは、どこかに非日常が潜み、人々を巻き込む力を持っている。例えば焼津ヤミー(闇)市の名物パンスト相撲も、一見ただのおふざけのようだが立派な「非日常」だ。
「焼津ヤミー(闇)市はまずは大人に楽しんでもらおうと、素朴で懐かしい昭和をコンセプトにしている。大人が楽しむ様子を見たら子どもはもっと楽しめるよ。英語で美味しいという意味の〝ヤミー〟だけど、僕らのヤミーには〝闇〟という怪しげな一面がある。それを体感しにぜひ足を運んでほしい。ただ、イベントは通過点。出店者のその後の新規販路やコミュニティが広がっていけば最高だ」。ロコ☆スタパワーを感じ、とても頼もしく思えた。

歌って踊れる魚レンジャー。観光客への焼津特産品のPR活動も外せない任務。

焼津ご当地ヒーロー、魚レンジャーの会の裏事情!?

焼津でじわじわと人気を集めているのが、魚レンジャー。彼らは2009年に誕生した焼津市PRのためのキャラクターで、鰹や鮪など、それぞれ焼津の特産品をモチーフにした9戦士からなる。魚レンジャーの会は、今でこそ年間20近くのイベント出演をこなすなどの人気ぶりを見せているが、誕生当初はその活躍の場は広がらなかった。メンバー集めや、使用申請等の手続き、コスチュームの洗濯やパフォーマンス練習など、魚レンジャーになるのはなかなか大変な道のりなのだ。
そんな魚レンジャーを4年前から盛り上げているのが、「魚レンジャーで焼津を盛り上げようの会」の「かつおレッド」こと、安野弘晴(あんの ひろはる)さん。その管理を一手に引き受け、有志を集めて各イベント主催者に営業活動を始めたのだ。すべてボランティア活動というからその熱意には驚く。活動の軸は焼津市役所の中心市街地活性化事業だが、小学校や福祉施設などからの依頼も増加中だ。 安野さんを突き動かすものは、「子供たちを喜ばせたい」というシンプルな想い。だからこそ、いつも魚レンジャーは積極的に子供たちと接する。「ある親御さんが『うちの子は魚レンジャーが好きなのにいつも恥ずかしくて近づけなくて…今日かつおレッドさんが話しかけてくれてやっと一緒に写真を撮れたんですよ』と教えてくれたことがありました。シャイだった自分の子供時代と重なる部分がありとても嬉しかったです」と、安野さん。これからも焼津と子供たちのために魚レンジャーの奮闘の日々は続いていくだろう。
※会員募集中!!興味のある方はぜひ問い合わせを。安野弘晴 TEL/090-1478-8214