すろ~かるが見つけた 駒形通りの周辺あれこれ

静岡の中心街からちょっと離れた場所にある駒形通り。
だからもうちょっと、あとちょっと歩くだけでいい。
それだけできっと、もっと静岡の奥深さに気付けるから。

左から酒のとみた 屋黒田さん、静大生 もりそん、静大生 NORLIN、静大生 ぺそ

駒形通4丁目と静大生

駒形通りでとりわけ印象深いのが、トリコロールカラーのアーケードがパッと目を引く駒形通4丁目の商店街だろう。近年、全国的に地方の近隣商店街が衰退傾向にある中で、この商店街に建ち並ぶ八百屋や魚屋、家庭用品店やスーパーマーケットは毎日のようにたくさんの客が訪れ、賑わっているように見える。しかし、今回の取材を経て、外から見ればそんな「昔ながらの元気な下町商店街」も、実はその内側では厳しい問題を抱えていることが見えてきた。取材に協力してくれたのは、創業100年以上を誇る「酒のとみた屋」の店主黒田さん。黒田さんは、商店会で実動している貴重な1人だ。夢は、七間町通りから駒形通りまで商店街が続く歩行者天国の街並みを作ることだが、実際には外部からの客層の少なさや、商店街全体の高齢化で積極的な運営ができなかったり、店同士の足並みが揃わなかったりと、頭を悩ませている。
そんな駒形通4丁目商店街に約2年半前、転機が訪れた。静岡大学の学生たちの参入だ。彼女たちは大学のフィールドワークの授業の一環で「商店街の活性化」をテーマにこの商店街を選び、関り始めたのだ。彼女たちが個々の店舗をまわって聞き込みを行うと、誰もが話好きで個性あふれる人たちだったということで、最初に手掛けたのが「おしゃべりさん’ズの商店街マップ」(P18参照)。商売繁盛を司る恵比須さんから生まれた「エベちゃん」というキャラクターや、商店街の各店主の似顔絵が描かれた街歩きマップは商店街からも喜ばれ、反響があった。しかし、次の活動にはつながらなかった。直面する課題は黒田さんと同じく、店ごとに異なる商店街への想いをどのように噛み合わせていけばいいのか、という出口の見えないものだ。しかし、彼女たちは次の一手に出ることを決めた。10月27日(土)に、「駒形パシャらっち」なるイベントを開催するのだ。駒形通4丁目商店街を撮影し、それをSNSでの配信に加え、その場で印刷して張り出し、コメントをつけ合えるというもの。参加費は無料で、なんと1万円の賞金をもらえるチャンスが得られる!「どのお店も魅力的で足を運ぶとつい何か買ってしまう」と、彼女たち。外部の人々にも同じように商店街を知ってもらい、新しい客層となってもらうことが狙いだ。各店舗では割引などのキャンペーンも。静大生も黒田さんら一部の商店会会員もこのイベントに懸けており、商店街全体のモチベーションをどれだけ上げられるかの勝負どころだ。

静岡県地震防災センター|静岡市葵区駒形通5-9-1 ℡/054-251-7100
※年内で一時休館 開/9:00~16:00 休/月曜日、年末年始
http://www.pref.shizuoka.jp/bousai/e-quakes

静岡県地震防災センター

昭和51年、駿河トラフを震源域にマグニチュード8程度の地震が発生するとされる「東海地震説」が報道された。以来、「いつ起こってもおかしくない」と指摘され続け、今年で42年が経つ。そして現在、政府は東海地震単独ではなく、静岡県から宮崎県の太平洋沿岸を震源とする「南海トラフ地震」を想定している。地震の脅威、その被害や対策について、私たちはどれほど理解しているだろうか。静岡市葵区の駒形通りには、体験しながら地震について学ぶことのできる静岡県地震防災センターがある。津波の威力や、「南海トラフ地震」の被害想定、家の模型を使った耐震化の効果や液状化現象の仕組みを学習したり、実際に地震の揺れを体験することのできる施設だ。取材を通して、揺れの収まりから津波の第1波が来るまでの時間は早いところでは僅か数分であることを知り、事前に避難場所を理解しておくことの重要性を噛み締めた。実は、こちらの施設、2020年3月のリニューアルオープンに向けて来年1月から一時休館となる。地震や津波だけではなく、風水害や火山災害などのあらゆる自然災害の防災対策に対応した施設として生まれ変わる予定だ。防災や自然災害について知っておけば自らの命と地域を守ることができる。災害への備えの認識を確かなものにするためにも、休館前に一度訪れてみてはいかがだろうか。