住んで楽しい♪ 来て楽しい♪
世代と地域がつながるまち

平成27年にリニューアルされたJR安倍川駅。その整備を機会に、駅の周辺では地元をより良いまちにしようと、住民たちによるまちづくりの動きが活発化しています。駅だけではなく、長田図書館や長田児童館との複合施設「オーク長田」や高齢者施設の充実など、子ども、若者、高齢者の3世代が安心して快適に暮らしていけるエリアだという印象を受けた安倍川駅周辺で、まちづくりに取り組む団体の1つに迫りました。

すろーかるが「長田彩りの会」に巡り会ったのは、とあるマップがきっかけでした。ポケットサイズのそれは「安倍川駅Lifeマップ」と名付けられ、「休日の楽しみ編」「安心・安全編」「子育てお助け編」の3種類あり、どれも丁寧にコメントが盛り込まれていて、安倍川駅周辺のまちのことが事細かくわかるようになっています。いったいこのマップはどんな人たちによって作られたのか、そんな好奇心をかき立てられてしまったのです。

訪れたのは、夜のみずほ公民館。この日は月に1度の長田彩りの会の定例会でした。メンバーは活気に満ちていて、それぞれに意見を言い合い、この定例会から新しい地域でのイベントが生まれ、実行されてきたということがうなずけました。聞くところによると、「安倍川駅Lifeマップ」は「長田彩りの会」の前身となったプロジェクトで、行政と地域住民が協働で外部からやってきた人たちにまちを知ってもらうために作ったのだそう。最初は行政からの呼びかけで動きだしましたが、プロジェクトを経て新たに住民主体のまちづくり組織「長田彩りの会」が発足したのです。発足後、会は色々なことに取り組んできました。1つが丸子川の美化活動。行政とリバーフレンドシップを結び、土手に花を植えたり清掃を行っています。また、地域の子どもたちの下校時の見守り活動を応援するため、犬の散歩をする住民に公園などで遊ぶ子どもたちの見守りの呼びかけを行い、通学路以外の通りにまで目が行き届くと好評を得ました。そして、会の自慢の企画が秋に開催される「丸子川キャンドルフェスタ」です。遊びに訪れる人が少なく、物寂しかった寺田・鎌田第一公園をなんとか盛り上げたいという想いが企画の発端でした。公園を拠点に、丸子川の堤防等へ竹絵キャンドルや竹燈篭を灯し、住民が集って幻想的な夜を過ごします。この企画の特徴は、地元の多くの子どもたちが携わっていることでしょう。キャンドルに用いる竹絵は、4つの幼稚園に依頼し、竹燈篭の制作は長田南中学校や静岡西高校の生徒たちが手掛け、竹絵や会場の清掃作業を長田東小学校の生徒たちが担います。そんな子どもたちに応えて始めた、綿菓子やポップコーンの出し物は大好評です。平成26年にスタートし、去年で第5回目の開催を迎えたこのイベント。その労力は並大抵のものではないことも事実で、会のメンバーが冗談交じりで「あともう1回できれば上等!」なんてこぼす場面もありました。今では幼稚園のときに最初に竹絵を描いた子どもは4年生に、会場清掃をした4年生は中学生に、竹灯篭を作ってくれた中学生は高校生になって、今でもイベント運営に参加しています。地域行事に携わる子どもたちを増やし、「人の輪」「地域の和」を広め、地元の将来を担う世代が育つことが長田彩りの会の願いです。「次の世代が大きく育ってこの『丸子川キャンドルフェスタ』を続けてくれるといいねぇ」。キャンドルフェスタはメンバーの「希望の灯り」だそうです。