大澤さん

古い町家を活かした新たな取組が続々と…
温故知新 in 蒲原

作務衣姿でギターを片手に熱く歌う姿が印象的な歌い手・山作戰(やまさくせん)こと髙山真徳さん。出身は熊本だが、縁あって10年前に蒲原に移住し、旧東海道沿いにある昔ながらの建物を拠点に全ての楽曲制作や録音を行なっている。「蒲原という場所はとてもおもしろく、歌作りにおいても確実に良い影響を与えてもらっている」と髙山さんは言う。そんな彼の歌に耳を澄ませてみると、蒲原をはじめ、静岡県内の地名がそこかしこに登場し、思わずニヤリとしてしまう。県外のファンは好奇心に駆られ〝聖地〟に足を運ぶ人も少なくないそうだ。〝Iターン型アーティスト〟として地方から全国へ発信しているユニークな存在と言えるだろう。「もっと蒲原や静岡にアーティストが住みたいと思ってもらえるようにしたい」と、現在、ライブやYouTube配信などで制作した楽曲を披露する機会を拡大中。7月には今年で3回目となる1,000人のコンサートも開催する。彼の歌を通じて、蒲原や静岡の魅力に出合うというのもおもしろいだろう。

年に一度の1,000人のコンサート!「 ヤマサクセン夏のセンまつり 」
[ 開催日時 ] 7/23(祝) 開場17:30 開演18:30
[ 会場 ] 静岡市民文化会館 中ホール
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蒲原から全国、世界へ発信!
静岡の魅力を歌い上げる「山作戰」

古くからある蒲原の町で、新たな動きが起こっている。まず1つは、バックパッカー向けのホステル「燕之宿」の誕生。蒲原の最古に属する町家「志田邸」の敷地内の古民家を長崎出身の大澤さん夫婦がリノベーションし、オープンさせた。さらに、ホステル隣の築200年の旧醤油醸造蔵を地域と宿泊客とのコミュニティスペースにしようとクラウドファンディングも試みる。2つ目は「旧岩邊邸」。千葉大学で教授を務めた木下さんが移り住み、地域交流の場としても提供していく予定だ。両者に共通するのは、蒲原の風情をつくってきた古い町家が急速に失われつつあることに対する危機感。それらを残すだけでなく、新たな役割と価値を与え、外から人が訪れるようになると同時に地域住民とも交流しまちづくりにつながることを目指す。木下さんによると、小学生のシティガイドがいたり、旧岩邊邸でもこれまでに学生によるカフェの運営、若者によるまちづくり会議が行われたりと、住民参画や国際化を意識したまちづくりの土壌がすでにあると言う。この春からはそれが一気に加速しそうだ。取材当日、旧岩邊邸の蔵の2階に間借りしていた塩坂さんご夫婦にも遭遇。4月からは別の古民家へ引っ越すというが、同じ蒲原で自然農や学習塾など様々な活動をしていくとのこと。蒲原のこれからが楽しみだ。