今から500~600年前の安倍川の流れ(出典:国土交通省 静岡河川事務所)

古の安倍川の流れと
この辺りの地域の姿が見えてきた

今回特集するエリアの地名の由来を調べてみた。すると、この辺りの地域にはかつて安倍川が枝分かれして流れ、時には氾濫が起こっていたということがわかってきた。例えば「中原」。安倍川の流れの〝中〟の氾濫〝原〟だったことを示しているようだ。(氾濫原とは、河川の水が洪水などにより河道から氾濫する範囲にある低地部分の総称)。「見瀬(みせ)」の由来の一説は、室町時代に起きた洪水で冠水した後、最初に地面(〝瀬〟)が〝見〟えたからだとされる。「馬渕」は本来「真渕」とされ、渕(淵)は川の流れが緩やかで深さのある場所を表す。下流に位置した「中島」・「西島」・「下島」も低湿地で、川の水量が増え、これらの地域が冠水した際には、島状になったことが想像される。実際の方位と一致していないのは、下島は上島(現在の中田辺り)に相対して付けられ、その西隣が西島、中島は安倍川の川〝中島〟だったことによるからだという。そんな当時の様子に思いを馳せ、この地を巡ってみてはいかがだろう。

(参考文献:飯塚伝太郎・1989年・『しずおか町名の由来』静岡新聞社)

見学会 9/3(木)10:00~(受付9:30~)事前申込不要
駿河区中田本町30-1 ℡/054‐286‐1919

クジャクの羽のように、
子どもたちの個性が広がる幼稚園
―静岡南幼稚園

園庭に響き渡る子どもたちの元気で楽しそうな声。ここ静岡南幼稚園では、「キラキラの個性大発見!」をスローガンに、子どもたちの個性を育む教育を大切にしていると言う。年中行事をはじめ、スイミングや遊びながら体を鍛える「あそびっこ」、ネイティブによる英語教育などアクティビティーが豊富。園児たちは様々な体験をし、園章に描かれるクジャクのように、〝羽をのばして〟過ごす。体験した後には、「感じたことを絵で表現してみよう」「どんな風に表現したら良いだろう?」と、次の活動へ繋げていく点も興味深い。「知る」「感じる」ことに加え「考える」機会をつくり、想像力と創造力を鍛えていくのだ。また、先生たちが活動計画「週案」と「日案」を作成し、「振り返り」も行なうなど、子どもたちに対するきめ細やかな気配りが伺える。今年4月からは、静岡北中学校副校長を務めるなど、中等教育・高等教育の現場を知る青島先生が園長に就任。学術的な視座が加わり、子どもたちの個性が輝く環境づくりがさらにブラッシュアップされそうだ。

©Kei Tsuji トランス・ジャパン・アルプス・レース
HP http://www.tjar.jp

「トランス・ジャパン・アルプス・
レース」のゴール地点に行き着いた
―大浜海岸

大浜街道をひたすら真っ直ぐ南へ南へと進んでいくと、大浜海岸にたどり着く。誰をも迎えてくれるその場所は、「TRANS JAPAN ALPS RACE(トランス・ジャパン・アルプス・レース、以下TJAR)」のゴール地点でもある。「TJAR」は2002年から2年に1度開催されている山岳レース。参加者は、富山県魚津市を出発し、北・中央・南と3つのアルプスを経て、大浜海岸までの約415㎞を自分の力だけで踏破する。当然ながら危険はつきもので、ケガや不調、そのほかトラブルに見舞われることもある。ゆえに、単なるトレイルランニングではなく、3000m級の山岳フィールドで活動するための知識や経験、そこに基づいた判断力、そして勇気を兼ね備えていることが不可欠。厳しい選考会等を経てやっとスタートラインに立つことができ、さらに世界屈指の過酷なルートを制した者だけが、ここ大浜の地にたどり着くのだ。今年の開催は残念ながら延期となったが、再びこの場所で猛者たちの雄姿が見られる日を楽しみに待ちたい。