用宗歴史散策!

歴史の面影が残る場所、それを語り継ぐ人。歴史に触れる機会をご紹介。

城山さん

昔から地域の人たちから「城山さん」と呼ばれている持舟城(もちぶねじょう)は、用宗駅の裏にある小さな山の上にある。線路脇の浅間神社から、15分ほど登ると持舟城跡に到着。目の前には安倍川駅から用宗の街並み、遠くは静岡駅、富士山まで見渡すことができる。また道中さまざまな蝶を見られるのも楽しみの1つだろう。この付近ではアサギマダラやカラスアゲハをはじめ約25種類の蝶が見られるとのことだ。持舟城の築城年代は不明だが、今川氏の時代からあり、築城から廃城となるまで今川・武田・徳川の間で三度の攻防戦が行なわれ、1582年駿府の国に侵攻した徳川家康により再度攻められた際に開城、その後使われることなく廃城となったとされている。武田氏の時代には、武田水軍に招かれた向井正重らが入り、水軍の城としての機能も持っていた。今でこそ持舟城から海岸までは距離があるが、用宗駅の裏にある熊野神社跡の付近には船溜りがあったと城山山頂の地図に記載がある。用宗駅のあたりまで昔は海だったと思うと、今とは違う用宗の姿が見えてくる。また船溜りの横にある大雲寺には、向井正重供養碑(通称:マリア観音)の御仏像が安置されている。マリアと言ってもキリスト教の聖母マリアではなく、母親が赤ちゃんを抱いている姿に見えることからそう呼ばれているらしい。この御仏像は、かつて持舟城跡にお堂があり、そこに祀られていたが、取り壊すことになり大雲寺に移されたという。城山山頂は広く、椅子やテーブルもあるので、のんびりピクニックなどどうだろう。

御坂堂 営/日曜日、28日 10:00~14:30(28日にはコンサートあり)
語り部レストラン「華」(予約制) ℡/090-4852-4072(成澤)

小さな歴史資料館のある茶屋「御坂堂」

小坂の集落の奥、日本坂と満観峰への道の分岐に、日曜日と毎月28日だけ開く「御坂堂」という茶屋がある。メニューはなく、立ち寄ると無料のお茶が出てきて一服できる。野菜や手作りの味噌などが売っていて、お堂の中には地域の歴史の資料が並ぶ。地元の人や登山者の憩いの場にもなっていて、昔の峠越えの休憩所はこういった場所だったのだろうかと想像させる雰囲気がある。営むのは、郷土史家の成澤政江さん。小さいころから歴史に興味があり、自分で調べていくうちに、講演会を行なうほど歴史に詳しくなったのだとか。家康をはじめ各地の武将や地名の云われにも詳しく、いろいろな話が飛び出してくる。小坂の自宅では、第2、第4月曜日に歴史の話を聞きながら江戸初期の料理を堪能できる語り部レストラン「華」を開いていて、「次世代に少しでも語り継いでいけたらと思う」と語る成澤さん。歴史の話を聞きに訪ねてみてはいかがだろうか。