自分たちでつくる藤枝駅南

地域の力で新しくなった前島神社と、リノベーションして街を元気にする一般社団法人ふじえだやもりを取材した。

花手水

前島神社

藤枝駅南口から西に数百メートルのところにある前島神社。創建は1575年、明治時代に周辺の神社を合祀し今の名称となるまでは浅間神社と称していた。主神は安産や子授けなどを司るコノハナサクヤヒメ、右神が水を司るミヅハノウメ、左神は五穀豊穣を司るウカノミタマである。現在は開放感のある綺麗な境内だが、5年ほど前は草が生い茂りうっそうとしていたという。前氏子総代会会長の楠元さんが中心となり、周辺住民に声を掛け今の形に整備してきたそうだ。台風で倒れてしまった境内の木を使って椅子を作るなどの取り組みを行う中で、人々の輪も広がってきた。氏子の山内さんは、4年ほど前から毎朝自宅に咲く花を持ってきて手水に飾っているという。手水舎には手作りの風鈴も吊るされており、水に浮かぶ花と相まって涼しげな雰囲気になっている。鳥居をくぐった右手にはイラストレーターとこさんが手掛けた可愛らしいコノハナサクヤヒメのイラストや、セラピストななみるさんが作った境内にあるオススメスポット満載のマップ。さらに奥の大絵馬は藤枝順心高校の手工芸部に依頼して毎年作ってもらうのだという。様々なことを氏子だけでなく、前島神社が好きな人たちが協力しながら行っている。正月に販売するお守りは、氏子の大畑さんが手作りしたものに、神社のナギの葉を入れてアロマ調香師の永田みかさんが神社のイメージで調合した香りを付けている。再び多くの人が訪れるようになった前島神社。「これを持続していくために、月1回でも週1回でも空き時間に少し境内の掃除をしてくれるなど関わってくれると嬉しい」と話すななみるさん。まずは遊びに行って、気に入ったら輪に加わってみるのはいかがだろうか。

ふじえだやもり

一般社団法人ふじえだやもりは〝ほしい暮らしは自分でつくる〟をテーマに、株式会社まちづくり藤枝などと連携して藤枝駅を中心にリノベーションまちづくりに取り組んでいる。コンセプトワークも行っており、企画・構想力が強み。BiViにあるトライアルスペース『kokokara』(MAP15)も、まちづくり藤枝から依頼され空間のブラッシュアップに携わった。ここの既存出店スペースはデザインの方向性が曖昧であったが、市場や賑わいをイメージしたコンセプトを軸に天幕やランタンを配置することで統一感を持たせ、人の集まりやすい場所を目指した。「まちづくりは場所だけでなく、コミュニティー作りも大切」と話すのは理事の北川さん。「人が集まる場所があってもコミュニティーが生まれなかったり、コミュニティーがあっても集まる場所がなかったりすると発展しにくい。双方が作用することでまちづくりは盛り上がっていくし、住民の意識も重要だ」と続ける。「自然と人が集まる仕掛けや集まりたくなる場所を作り、それぞれがやりたいことを発する中で、部活のようなグループができ、みんなで楽しみながら実現していけるような形が理想」だと言う。そのための仕掛けを現在構想中とのことで、今後の展開が楽しみである。最後に「将来はまちづくりのことは、やもりに聞けばなんとかなる。そんな存在になりたい」と話してくれた。