ブックタイトルすろーかる2018年4月号
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すろーかる2018年4月号
お仏壇のやまきには、位牌に戒名を書く職人がいる。蒔絵筆に漆をつけ、その柔らかな穂先が位牌に触れた瞬間、あたりの空気は凛と静まり、思わず息をのんだ。そして漆が乾く前の一寸の間に金粉を振ると、文字は美しく浮かび上がり、輝きを放つという。「お位牌は故人そのもの、戒名はお顔です。真心込めて書き続けていきたいです」と矢嶋先生は語る。故人やご家族を想って書き上げる氏の文字には、温かさと優しさ、慈しみが詰まっているのだ。その心は別の形にも表れており、例えば2013年に開講した書道教室「やまき寺子屋教室」。和の心の継承者としての志も感じた。また同社には、戒名のほか、金箔貼り、塗装、修理の職人など、仏壇仏具のスペシャリストが揃っている。修理等の依頼は外注に出すことの多い業界のなか、やまきでは在籍する職人たちの手仕事にこだわっている。お客様との距離が近い分、想いの温度そのままに作業にあたれることはもちろん、早い仕上がり(最短3日)、物理的な移動の少なさから繊細な仏壇仏具を傷めずに納品できるという利点があるのだ。〝仏壇は故人の家。最高の状態で、できる限り早くご家族のもとへとお返し差し上げたい?。そんなシンプルな想いが、職人一人ひとりの原動力となっているのだ。海野さんの朝は一杯の梅昆布茶から始まる。シンと静まり返った工場内に電気を入れると、鈍い機械音が工場内に鳴り響き、それと共に海野さんの顔付きも変わっていく。今から十数年前、社長である大石さんとの二人三脚で、大輝の歴史は文字通り生まれ変わった。半導体事業、集積回路ICチップの元となる、シリコンウエハを磨くポリッシングパッドの加工製造に同社は挑戦。靴の中底を作っていた町工場が迎えた劇的変化の中心に海野さんはいた。「世界に名の通った企業からのオファーに、心が踊るどころか危機感すら感じていました。〝これは失敗できないぞ?って」。何度も何度も失敗と成功を繰り返し、今では世界中の企業から注目されるまでになった。仕上がりの精度は1μ 以下。ライン生産では不可能な、アナログともいえる手作業で製品のクオリティを見極める。最終的な製品チェックを行う海野さんの所作はまるで儀式のように研ぎ澄まされ、美しささえ感じるほどだ。今でも求められる製品クオリティと向き合い、毎日試行錯誤しているという。「挑戦し続ける会社が私は大好きなんです」と海野さん。進歩し続けるAI技術もまた、大輝の技術力の賜物と言えるのかもしれない。これからもその中心で挑戦していく彼の姿勢は変わることはないのだろう。株式会社お仏壇のやまき静岡市葵区本通8-41-1℡/054-272-3300 営/9:00~18:00休/火曜日 駐/9台http://www.yamakibutsudan.co.jp[ 焼津工場 ] 焼津市坂本1741.在籍する金箔職人が位牌に金箔を貼る様子。2.古くなった仏壇をリフォーム。3.壊れた仏具も職人の手によって生まれ変わる。手を合わせてもらうために、真心を込めて描き続けたい。1昭和通り本通8丁目中町JR静岡駅静市岡立病院本通り 交番株式会社大輝静岡市葵区辰起町10-16℡/054-253-3261http://www.daiki-tech.co.jp安倍川マムカーマ安倍街道浅間神社材木町妙見下水道町西1.毎朝のメールチェックと梅昆布茶は欠かせない。2.検品作業の様子。3.ポリッシングパッド。種類もメーカーごと様々。4.大石社長。職人の誇り。職人の誇り。株式会社大輝製造部部長兼工場長海野達広お仏壇のやまき戒名書師矢嶋彩泉「大輝のYES Y E Sは世界のYES Y E S 」と言われ続けるように。1 2Before → After 31 2357 56